涙を誘う話

2004年6月5日
これは親友しおの話。

首都圏に出張の多いしお。

その日も営業で歩き疲れ、くたくたになっていた。

遊びに行く気マンマンで、六本木にホテルを取っていたけど、どーしても外に出る元気がない。

近くの○屋で牛丼とみそ汁とサラダのセットを持ち帰りして食べることに決め、お店に入る。

食券を買い、カウンターへ。

「イラシャイマセ」

外人さんの店員だった。

「ギュウドンネ」

そう言われたとき、しおの心に不安がよぎった。

しかし、おなかが減っている。

早く楽な格好をして牛丼を頬張りたい・・・。

牛丼が入っている袋を下げ、ホテルにチェックインして、早速楽な格好に着替え、牛丼を袋から取り出す。

「牛丼〜♪」

「みそ・・・・・・・・んんんん?」

「さら・・・・・・・・はぁぁぁぁぁぁぁ?」

・・・・・袋には牛丼しか入っていない・・・・・・。

そのときしおの頭の中では、服を着替えて文句を言いに行くべきか、それとも、もうしんどいから、ここは我慢して、牛丼だけを食べるか・・・とすごい葛藤が繰り広げられた。

32歳独身女・・・。

そんな面倒なことはどうでもいい、とにかく目の前の牛丼を食べよう!

そう思ったらしい。

「箸、はし、ハシ、はぁぁぁぁぁぁしぃぃぃぃぃ(涙)」

箸も入っていなかった。

とりあえず、ホテルの部屋の中を探す。

それらしき物は無い。

自分のカバンやバックの中を探す。

でもやはりない。

そのときしおの頭の中には、自分の家の食器棚の中にある、割り箸たちや箸が浮かんだという。

ホテルのフロントに電話すればいいのだろうが、箸一本に電話もしたくない。

しかも、人には見せられないような格好・・・・。

とりあえず、箸の代わりになるようなものを探す・・・・。

いろいろと考えるけど、何も見つからない。

指でつまんで食べてる国だってある!私にだってできるはず!!

しおはそう思いトライする。

「のぉぉぉぉぉぉぉぉっ!」

持ち帰りとは言え、ほかほかの牛丼。熱い!!

手で食べる国の人はスゴイなぁと彼女は思ったらしい。

やっぱり、箸、いや、箸の代わりになるものが欲しい!

もう一度しおは部屋うろうろしてを見回す。

「!!!!!!!!!!!」

目に入ったのは、歯ブラシとくし。

アメニティとは言いがたいが、ビジネスホテルの洗面所に常備してあるあのコンビ。

「やるしかないな。消毒済みだし。自分のボールペンよりも清潔やん」

と、歯ブラシの柄とくしの握る所で牛丼を食べ始めた。

なんともバランスの悪い箸・・・。

食べてる途中で、くしは髪をとく部分の方が、肉をちゃんと引っ掛けたりできるんじゃないか???

いやっ!でも、隙間に御飯が詰まったらなぁ・・・

などと、アホな事を考えながら、最後は御飯をかきこんで、牛丼を完食したそーな。

32歳独身、彼氏いない歴3年。

人には見せられないような、楽ちんな格好で牛丼を、しかも、歯ブラシとくしで食べるなんて・・・。

そんな光景、想像しただけで涙が出てきてしまう(笑泣

聞いたときは、大爆笑!!涙が止まらなかった(違


「もー本当に惨めやったよー。この話るるにしか話してないけん!誰にも言わんでよー」


と、焼き肉屋さんで、ラストオーダーの時間まで粘って、2人でした会話がこれ(笑)


ははは・・・・。

ごめん!しお。全国。いや全世界にさらしてしまった、悪い親友です。

だって、あんまりにもおもしろかったんだもーん。
 
 

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